個の時代が進む21世紀-高林秀亘

日本のバイク市場が最盛期から1/10まで縮小、衰退した原因と対策

SUZUKI Hayabusa ハヤブサ/隼

管理人が10代の頃は、バイク市場が花盛りであった記憶があります。家庭の奥さんは、50ccスクーターで買い物に出かけるのが普通でした。街中では、250ccから400ccクラスのバイクをよく見かけたものです。

管理人が最初に購入したバイクは、中古のYAMAHA FZ400R。その後、自動車に乗るようになっても、何故かバイクを所有していました。

 

SSバイクは一部のマニア向け

管理人は学生の時、YAMAHAの400ccバイクを購入しました。アルバイトで、なんとかやりくりするために長期のローンを組みました。

その当時はバイク店で、レーサーレプリカバイクが数多く販売されていました。

仲間と山間部へツーリングに出かけると、赤や青、白と黄色、白とピンクといった派手なカラーリングのスポーツバイクを多く見かけました。

SS(レーサーレプリカ)バイクはサーキット仕様のバイクをデチューンし、保安部品を装着してナンバーを取得したような二輪車。SSバイクは高荷重設定のバイクですから、サスペンションが固めでシートは「おぼん」のように小さく薄いものでした。

ライダーがSSバイクに乗車すると、前傾姿勢が強いため、ワインディングロードを走る時はポジションがバッチリ決まります。ところが長距離ツーリングに出かけると、両腕と背中の負担が大きく辛いものがありました。

 

そもそもSSバイクは、市街地走行時の取り回しや乗り心地があまり考慮されていません。よって、一般公道ではバイクのポテンシャルを発揮できないのです。

当時、そのようなバイクは一部のマニアの間では、圧倒的な支持を集めていました。

しかし、多くのライダーは、先の理由から違和感と不満を抱いていたと思います。排気量400ccのレプリカならば、エンジンパワーは十分ながら、街乗りから長距離ツーリングまで決して快適とは言い難いものがあります。

管理人は運動部で鍛えて体力には自信があったものの、それでも長距離走行では、体が休憩を必要としました。その後、社会人になって自動車に乗り換えたこともあり、YAMAHA FZ400Rは冬眠に入ったのでした。

 

日本のバイク市場が縮小した原因

YAMAHA XJR

 

日本で二輪車が最も売れた年は1982年。年間で329万台のバイクが売れたデータが残っています。

ところが、2016年のデータでは、国内の年間販売台数は33.8万台。

日本国内のバイク市場は、全盛期に比べて約1/10まで縮小しています。まさに国内でバイク市場は衰退を続けてきています。この原因は何でしょう。

これには複数の要因が絡み合っているでしょうから、決定的な原因を探るのは難しいかもしれません。

 

排他的なポジション

かつて、日本ではバイクの暴走行為と爆音問題があったこともあり、バイクが社会的に煙たがれ、排除されてきた経緯があります。学校では3ない運動を推進していました。

東京都内では、二輪車のアンダーパスとオーバーパスへの侵入禁止箇所が存在していますが、理解に苦しむ規制です。アメリカ政府からの外圧もあって、二人乗りバイクの高速道路走行が解禁となりました。しかし、そのまま首都高速に入れないのも不便です。

二輪車の高速道路通行料は、軽自動車とほとんど変わらないのも矛盾点の1つでしょう。

 

駐車場不足

更に、追い打ちをかけたのが、2006年6月の改正道路交通法。特に、東京都心部においてバイクの違法駐車の取り締まりが強化されるようになりました。

都内では、交通渋滞を避ける目的から、あえてバイクの移動を選択しているライダーが多いと思います。しかし、自宅を出発すれば、目的地周辺で必ずバイクを駐車する必要があります。

当時、その駐車場が圧倒的に不足していました。そして、今も不足しています。勿論、バイクも駐車禁止区域の駐車は、道路交通法に違反します。しかし、バイクの車体はコンパクトなこともあり、法改正までは、歩道や側道に駐車しても、厳しい取り締まりを受けていませんでした。

 

バイク業界の政治力

次に、日本のバイクメーカーは、昔から政治力が弱いと感じている人が多いのではないでしょうか。バイクは社会の中で、蚊帳の外扱いを受けてきた感が拭えません。

リーマンショック以降、自動車メーカーはエコカー減税の恩恵を受けていたものの、バイク業界にその恩恵はありませんでした。

車体が重く、燃費が悪いミニバンがエコカー減税の対象となり、何故か、軽くてCO2排出量が少なく、環境への負荷が小さいバイクは減税対象外でした。

 

 

 

バイクの環境性能

インドネシア,ジャカルタ

 

自動車の世界では、ハイブリッドや直噴エンジン+過給機、クリーンディーゼルエンジン、高圧縮ガソリンエンジン等、自動車市場が大きいこともあり、時代を先取りするかたちで進化し、環境性能も向上し続けています。

 

それに対して、バイク市場が縮小していくと、投下資本の回収が容易ではなく、生産台数が少なければ売価の上昇を招いてしまいます。よって、販売が苦戦するという負のスパイラルに陥ってしまいます。

 

高回転型エンジンの諸問題

中型クラス以上のバイクは、排気量と車重からすれば、お世辞にも燃費がいいとは言えません。確かに、趣味でバイクに乗るライダーは、燃費を気にすることはあまり無いでしょう。しかし、環境性能の向上は世界的な流れです。

4気筒400ccエンジンを積むモデルならば、市街地走行の燃費は20km/l前後、高速燃費は20km/l台の後半あたりでしょう。

数字だけを見れば、優秀に見えるかもしれません。しかし、排気量400ccのバイクの車重はわずか200kg前後の乗り物。

 

一方、日本のコンパクトカークラスは1,300cc前後の3~4気筒エンジンを搭載し、その車重は1,000kg前後。コンパクトカーの非ハイブリッドの市街地走行燃費は14km/l前後で、高速燃費は23km/l前後でしょう。

リッターバイクの市街地走行燃費は、同排気量のコンパクトカーとほぼ同程度。これらを勘案すると、いくら趣味性の高いバイクであっても、モデルによっては燃費対策が必要だと思います。

 

YAMAHA XJR

 

スポーツバイクは、ハイカムが組み込まれたショートストローク&高回転型エンジンを搭載しているため、燃費があまり伸びません。

もちろん、スポーツまたは、SSバイクには、スポーツ性を与える必要があります。

そこで、高回転型エンジンを採用すると、最高出力は増大するものの、低速トルクが痩せ細り、燃費が悪化します。それ以外にも、高回転型エンジンは弊害が多い問題があります。

高回転型エンジンは、一部のSSモデル専用のエンジンとして位置付けるべきでしょう。

 

HONDAのVTECはホンダらしく精密機械をイメージさせるエンジンです。

しかし、タコメーターのレッドゾーンが10,000rpm以上ともなると、アイドリングから2,000~3,000rpmの低速トルクは太いとは言い難いのです。

 

400ccクラス以下のバイクで高速道路を走行すると、ライダーの胸下でエンジンが高回転で唸り続けます。

4気筒400ccバイクならば、100km/h巡航時のエンジン回転数は5,000~6,000rpmに達します。長距離走行でエンジンの音は、ライダーの精神的な疲労の原因にもなります。

 

バイクのエンジンはMaxパワー命でゼロヨンと最高速を重視しているのか、今をもってしてもバイクのエンジンは高回転型が多く、環境性能としての燃費に問題を抱えています。

 

 

バイク市場は東南アジア、中国、インドがメイン

Indonesia/インドネシア バンドゥン

 

そもそも、日本の二輪車メーカーは遠い昔、既に国内市場に見切りをつけ、新興国の市場に活路を見い出しています。

例えば、インドネシアだけで、かつて年間800万台~900万台も125ccクラスのバイクが売れていました。2016年は、それでも593万台が売れています。

世界的には、125ccクラスのバイク市場が一番大きいため、売れる市場でバイクを作るのが企業として当然の成り行きです。また、バイクは基本的に暖かい国との相性がいいのです。

 

バイクのエンジンもダウンサイジング化

 

 

近年、バイクのエンジンも一部ダウンサイジング化の流れに向かっています。

排気量は同じながら、4気筒から3気筒、2気筒へ設計変更されたバイクが随分増えました。同一排気量のエンジンならば、気筒数が少ない方が冷却損失が少なく、中低速トルクが太く、燃費が良くなります。

 

その中で、HONDA NC750Xは2気筒エンジンを搭載し、車重は400ccクラス+α程度。おそらく環境性能としての燃費性能も向上していることでしょう。

 

このクラスのエンジンが持つ「地トルク」は必要十分ですから、スーパースポーツクラスを除いて、タコメーターのレッドゾーンを普通乗用車並みか、せめてBMW M3並みにグッと下げて中低速トルクを太くした方がいいと思います。

すると、エンジンを回さなくてもバイクは太いトルクで加速するため、スロットルレスポンスとドライバビリティが良くなります。ライダーは運転も精神的にも楽です。

ハーレーに人気が集まっているのは、その中低速トルクの太さに理由の1つがあるのかもしれません。

 

 

学生、20代なら250~400ccクラスのバイク

さて、

もし管理人が現時点で学生、または若い社会人であるならば、迷うことなく250~400ccクラスの中古バイクを選びます。

250ccクラスなら、車検が不要で維持費が安くあがります。200~300kmの移動であれば、何ら問題はありません。エンジンはパラレルでもV型でも2気筒で十分。ただ、前傾姿勢がきついスポーツモデル以外という前提条件が付きますが。

 

 

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