人気の電動アシスト自転車が50cc原付バイク市場を奪ったのか?

リチウムイオンバッテリーを搭載する「電動アシスト自転車」の市場規模は確実に伸びてきました。
2016年現在、日本国内の電動アシスト自転車の市場規模は約55万台。同年のバイクの国内販売台数は33.8万台。既に逆転現象が起きています。
この電動アシスト自転車の老舗は「ヤマハ発動機」。
1993年、ヤマハが電動アシスト自転車「PAS」を市場に送り出してから、確実に販売台数が伸び続けています。
モーターがペダルをアシスト
電動アシスト自転車はモーターのみの走行はできません。人がペダルを漕ぎ始めると、電気モーターがペダルをアシストして漕ぐ力を軽減してくれる仕組み。
あくまで人間が主役でモーターはアシスト役。電動アシスト自転車は自転車版ハイブリッドのような乗り物と言えます。
電動アシスト自転車は「人力」+「モーター」で走行する以上、「ハイブリッド」と言ってもあながち間違いではないような気もします。
電動アシスト自転車市場の拡大
1990年代までは、奥さんたちが50ccスクーターに乗ってお買い物・・といった光景が見られました。ところが地方圏では、それが軽自動車に替わっています。
HY戦争(HONDA vs YAMAHA戦争)の頃、50ccスクーターは自転車の延長線上のような乗り物だったようです。(管理人の年代は良く知りません。)価格も5万円台から10万円ほど。その後、50ccスクーターが高級化していったこともあり、価格は15万円前後へシフトしました。
50ccバイクから電動アシスト自転車へ
スクーターに替わる乗り物として、市場に入り込んできた乗り物が電動アシスト自転車。
売れ筋の電動アシスト自転車の販売価格は10万円~15万円。
安価なママチャリなら1~2万円台。有名メーカーの普通自転車でも5万円前後。なお、ホームセンター等で販売されている安価なママチャリは、それなりの作りですから錆びやすくて消耗品扱い。
女性が自転車に子供と食料品を乗せると、ちょっとした坂道でもペダルが重くなって車体がふらついてしまいます。
その点、電動アシスト自転車ならば、モーターが黒子役としてアシストしてくれます。坂道をスイスイと登っていけるし、ガソリン、税金、自賠責保険、免許証、ヘルメットも不要。自転車ならではの手軽さがあります。
ヤマハとパナソニックは子供を乗せる3人乗り用の電動アシスト自転車をラインアップに加えています。これは、50ccバイクでは絶対不可能。
これらの要素が市場から評価されているのでしょう。更に、バッテリーの性能が向上したことも見逃せません。
日本市場にマッチした商品企画
激坂PASチャレンジ-大阪府、暗峠
電動アシスト自転車の特徴をまとめてみます。
・電動アシスト自転車の価格は概ね、50ccバイクより安価
・燃料費、税金、自賠責保険、免許証が不要
・ヘルメット不要
・リチウムイオンバッテリーは持ち運び可能で室内で充電OK
・満充電状態で30~40kmくらいまでモーターがアシスト
・CO2排出ゼロ
このように、電動アシスト自転車は原付50ccバイクに比べたら敷居がグーンと低い乗り物。メリットが数多く、特に女性の心を大きく惹きつけます。
電動アシスト自転車のバッテリーが放電してモーターのパワーが低下しても、ペダルの重さが元に戻るだけです。そもそも、自転車の移動半径は広いわけではなく、出先でバッテリー充電の心配をする必要もありません。
そして、自転車からリチウムイオン電池を取り外して室内で充電できます。これも、私たちの生活にマッチしています。他方、EVのようにガレージに充電設備が必要となると、敷居は一気に高くなってしまいます。
日々の生活で、通勤や一定以上の距離を移動するならば、原付50ccバイクが毎日の足となってくれます。しかし、自宅から半径2~3km以内の移動であれば、電動アシスト自転車で事足ります。
東京のような公共交通機関が発達している大都市圏では、電動アシスト自転車こそ日常の足にピッタリ。だからこそ、大都市で電動アシスト自転車がヒットしてきたのでしょう。
大都市では、大きく移動する時は電車やバスを利用しますし。
以上の複数の理由があって、電動アシスト自転車が原付50ccバイクの市場に食い込んできたのではと思いますね。
激坂PASチャレンジ-東京都、のぞき坂
強風PASチャレンジ-向かい風にチャレンジ
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こんにちは。
ランキングからきました。
電動自転車は、小さいお子さんがいるご家庭にはもはやなくてはならない存在になってきてますね。
バイクだと子どもを乗せることが出来ないぶん、電動自転車は子どもを乗せることもでき、ましてや坂道も押して歩かなくてすむので、自然と需要が延びるのかもしれませんね。