カーナビゲーションのUI/ユーザーインターフェイスを考える

今までのカーナビゲーションUIは指でタッチパネルを操作する方法が主流。

また、一部スマホのようにピンチアウト操作ができるモデルもあります。日々、スマホを使用していると、カーナビの画面でも無意識にピンチアウトしてしまう時があります。慣れというものは怖いもの。

 

他方、欧州車の一部のカーナビはタッチパネル方式ではなく、センターアームレスト付近に操作ダイヤルが設置されています。まとめますと、今日のカーナビUIは大きく3種類。

・タッチパネル方式 (+エアージェスチャー)

・スマホ方式

・ダイヤル操作方式

クルマにとって、どの方式が適切なのでしょうか。それでは、各方式のメリットとデメリットを挙げてみましょう。

 

タッチパネル方式

[メリット]

多くのドライバーが慣れ親しんでいる操作方法。

[デメリット]

車種によっては、ドライバーが運転席から手を伸ばしても、カーナビの画面に指が届かないことがあります。特に小柄な女性は操作性が気になるかもしれません。この時、左肩を前方に動かして画面を操作することになりますから、運転姿勢が一時的に崩れてしまいます。

 

スマホ方式

[メリット]

スマホ愛用者にとっては、慣れ親しんでいる操作方法。

[デメリット]

タッチパネル方式と同様、左肩を前方に動かして画面を操作することになりますから、運転姿勢が一時的に崩れてしまうことがあります。また、走行中は車体が揺れていることもあり、ピンチアウトやスワイプ操作がやりにくいでしょう。

 

ダイヤル操作式

[メリット]

最初、この方式はとっつきにくいかもしれません。しかし慣れてくるとメリットも感じます。運転中、ダイヤルを操作しても、運転姿勢が変化しないため、安全運転に繋がるメリットはあるでしょう。

[デメリット]

目的地設定の画面で、住所や名称を1文字ずつ設定する際、ダイヤル操作が忙しくなります。

 

カーナビゲーション

 

カーナビや車内の各操作スイッチはスマホや家電製品と違い、走行中の動的な環境の中で瞬間的な視線移動によって操作する前提で設計する必要があると思います。

原則、クルマが動き始めると、カーナビは一部の操作を除いてボタン操作が不可となるものの、ラジオやオーディオ等の操作は可能。

車両は走行中、上下左右に揺れていますから、ドライバーが伸ばした左腕もそれに合わせて動いてしまいます。

勿論、走行中、ドライバーはモニター画面を注視してはならない定めがあります。

 

(番外編)各スイッチのUI

ここで、カーナビ以外のスイッチの操作性を改めて検証してみましょう。

例えば、ドライバーがエアコンの「AC」スイッチを押す時、

 

1、視線を斜め左下方向に動かして、ACスイッチの場所を確認する。

2、それと同時に、左腕を前方に伸ばしてスイッチを押す。

3、ドライバーはスイッチのストローク感で操作完了を確認できる。

 

ところが、ACスイッチがタッチパネルスイッチならばどうでしょう。

 

1、視線を斜め左下方向に動かしてACスイッチの場所を確認する。

2、それと同時に左腕を前方に伸ばしてスイッチを押す。

3、ドライバーはタッチパネルのスイッチに触れる。

4、それだけでは操作完了の確認ができないため、再びタッチパネルに視線を動かして[AC]表示を確認する。

 

このようにインストルメント・パネルにタッチ式スイッチを採用すると、ドライバーの視線移動が多くなります。

上記「3」の段階で確認音が出ても、やっぱり確実性に欠けますし、ドライバーは操作が完了したことを目で確認しようとするでしょう。

 

次に、従来ながらの物理的なスイッチであっても、スイッチ形状によって操作性が良くないものがあります。

プリウス、パーキングスイッチ

 

スイッチ周囲のベース部とスイッチがツライチになっていると、手さぐりのブラインド操作ができません。ドライバーはそのスイッチを押そうとする度に、視線を動かして場所を確認する必要があります。

 

以上の問題からも、カーナビUIの構築も決して簡単なものではないと思います。

スマホが普及したから、カーナビUIもスマホ風にすると、かえって操作性と安全性が悪化してしまう可能性もあるでしょう。

このあたりはカーナビメーカーがドライビングシミュレーター等を使いながら、ドライバーの運転操作とナビゲーション操作の関係を検証していることと思います。

 

従来のカーナビ機能の1つとして音声認識機能はあるものの、それはまだ発展途上段階にあります。

その点、iPhoneの”Siri(Speech Interpretation and Recognition Interface)”は、そこそこ音声認識性能がありますから、このようなシステムをカーナビに取り込んで、なるべくスイッチ操作を少なくする方向でUIを構築することで、安全で楽な操作に繋がるのではと思います。

 

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