味音痴が多い米国人-舌の味覚は先天的なもの?後天的に育つもの?

管理人はアメリカ人夫婦の家で同居していた経験があります。
とても親切で温かみのある夫婦で、親戚関係の食事会やThanksgiving/サンクスギビングに幾度となく招待していただいたこともあります。
日本とアメリカでは食文化がまったく違うため、日本人の感覚からするとアメリカ人の食生活は「?」の世界と言えます。そのような食生活と「舌」のパフォーマンスは無関係ではないと思うのです。
アメリカでは冷凍肉がほとんど
アメリカでは肉が安く肉食が多い国。それがアメリカの食文化。
アメリカではSafeway(セイフウェイ)やQFC、Albertson(アルバートソン)といったスーパーマーケットチェーン店がアメリカ国民の胃袋を満たしています。
アメリカのどのスーパーでも肉は冷凍物がほとんど。彼らは魚を食べる習慣がほとんど無く、食べるとしても白身魚フライの冷凍物をレンジでチンして食べるくらい。
アメリカ国内で海産物を扱うスーパーマーケットはアジア系オーナーによって経営されていることがほとんど。特に、カナダのバンクーバーに点在する中国系オーナーが経営するスーパーの品揃えは圧巻です。
肉が主食のアメリカ
北米の内陸へ足を踏み入れると、昔ながらのアメリカらしさが残っています。
アメリカは缶詰の歴史が長く、これは食品の保存と流通の問題を解決するために生み出されたパッケージ。缶詰はアメリカ人の英知の結晶と言えます。
あれだけ巨大な大陸ともなると、物流にあまりにも時間がかかることもあり、生鮮食品の取り扱いが容易ではありません。
そこで、冷凍肉や冷凍食品、カット野菜、ジャガイモに代表される穀物類、果物、ハンバーガー、パスタ、ピザ、そしてミニバケツ入りのアイスクリームが各家庭のメインフードなのです。
アメリカの各家庭が各種スパイスを使う理由として、これは肉の臭みを消して旨味を出すため。彼らは基本が肉食のため、焼き料理が多いのです。
現地には日本のような蒸す、煮る、出汁を取るという調理方法は存在しません。可能な限り電子レンジを使うことで、調理に手間と時間をかけないのがアメリカ流の食文化。食のために手間暇をかけるような文化が無いのです。
よって味付けもシンプル。
甘い、辛いといった違いはあるものの、日本のように鰹節とこんぶで出汁を取って香りと旨味を出すような調理はありません。食品にテリヤキソースやタバスコ、ホットチリをかけて食べるのがアメリカ流スタイル。
アメリカで生まれた人たちは、ほとんどそのような食生活の中で育っていきます。富裕層でも食文化はたいして変わりません。一部のアジア通や食通、健康に気を使う層が和食や寿司に興味を示すのです。
味覚とは?
管理人は、ここに味覚との大きな関係があるような気がします。
本来、生まれたばかりの赤ちゃんは人種は違えど、味覚能力に大きな違いは無いと思うのです。ところが、人が成長していく過程で日々、口にする食品で舌のパフォーマンスが変わっていくのでは?と思えてなりません。
日々の食生活が舌を鍛えることもあれば、味音痴になることもあると思うのです。
アメリカ人が関西や京風料理を口にすると、どれもこれも味が薄いと感じるはず。テーブルにテリヤキソースやケチャップ、スパイスが置いてあれば、彼らの手は自動的にそれらに伸びるかもしれません。テーブルに日本茶が出てきたら、砂糖を入れてしまうかもしれません。
基本的に多くのアメリカ人は海産物の生臭さが苦手。そもそも、彼らは海産物の匂いとは縁がない環境で育っているため無理もない話。あと、発酵食品の臭いも苦手。
特に、保守的な内陸人はその傾向が強いと思います。
中には魚料理を好むアメリカ人が一定数はいるものの、そのような人たちは海外の文化に触れるチャンスが多かったのでしょう。ただ、彼らが魚の種類毎の味の違いが分かるかどうかは不明。また、味噌汁の赤味噌と白味噌の味の違いについても同様です。
韓国の食文化
アジアに目を向けると、日本に近い韓国は激辛料理で有名。それが韓国の食文化。
食材に違いはあれど、何でもかんでもコチジャンと唐辛子で辛くしたら、どれもこれも同じような味になってしまいます。
韓国人はそのような食文化の中で育つからこそ、辛さに強い舌が出来上がるのでしょう。日本人が韓国のある料理を食べたら、辛すぎて卒倒しそうになるものの、彼らは平然と食べています。
辛さに強い舌は和食の繊細な味が分かりにくいかもしれません。韓国人からすると、関西や京風の味付けは薄く感じるでしょう。
人の舌のパフォーマンスは、生まれ育ってきた食文化によって大きく左右される傾向があるというのが管理人の考えです。
一旦、出来上がった舌は変わらない
既に韓流ブームは遠い過去のものながら、日本人の中でも韓国料理をこよなく好む人はいると思います。
時として、韓国料理を楽しむことで食生活に変化が出て話のネタにもなります。しかし、日本で生まれ育った日本人が毎日、朝昼晩と韓国料理一色の生活なんて不可能。
一旦、出来上がった舌というものは、食習慣に適した味蕾細胞で構成されているのでしょう。更に、人は味だけでなく料理の香りも同時に楽しんでいます。味と香り、そして見た目のセットで食を楽しむのが日本の食文化。
舌の味覚センサーと鼻の嗅覚センサーから上がってくる情報を脳が処理して、美味い不味いを決めているのかもしれません。食と人との関係はよくよく考えると、奥が深いものです。
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