太陽光発電ソーラーパネルとオール電化の導入は未知との遭遇の世界?

2011年の3.11までは「オール電化」というキャッチコピーが各方面で踊っていました。

オール電化は電力会社の主導によるエネルギー集中化政策で、ガス供給会社との間で火花を散らしていました。

3各電力会社は3.11まで、原子力発電所の夜間の余剰電力対策のために、オール電化政策を推進してきた背景があります。

日本国内の電気は余っていた

周知のとおり、原子力発電所では核分裂反応の際に発生する高熱を利用して水を沸騰させ、タービンを回して発電しています。この原発は、火力発電所のように電力需要に応じて供給をきめ細かくコントロールすることができません。

原発は昼夜関係無く、全負荷で稼働し続ける巨大な機械。

夜間は、人と経済の活動も低下するため電力需要も低下します。

原発にとって深夜電力が余っていたため、これが電力会社の長年の悩みでもありました。この問題を解消するために、電力会社の主導の下、オール電化が進められてきました。

あと、電気自動車の普及推進も電力会社のリードの下にありました。

原子力発電所

ところが3.11以降、オール電化がマスコミに取り上げられることが少なくなりました。

2018年現在、全国の原発の多くは停止状態が続いています。稼働を再開している原発はまだ数える程度。

◆Don’t put your all eggs in one basket

(直訳:全ての卵を1つのバスケットに入れてはならない。)

そもそもオール電化とは、文字どおり家で使うエネルギーを電気のみで賄うということです。それは、ガス供給会社にとっては心穏やかではない戦略。

しかし当時、管理人はこれに対して漠然とした疑問を抱いていました。

技術的やコストの問題はさて置いて、エネルギー源をたった1つに絞るということはリスクが高まることに他なりません。

これを原油輸入に例えると、1産油国からの輸入だけに頼るようなものです。産油国の政変や戦争、不測の事態が発生したら、エネルギー源が最悪ストップしてしまいます。

3.11の時、関東圏でIHクッキングヒーターが使えない、蛇口から水が出ない、お風呂に入れない、エレベーターが動かない問題に直面しましたが、そりゃそうなのです。

オール電化には、大きな初期投資が必要

各家庭でオール電化を進めるためには、大きな初期投資が必要です。

キッチンのガス台を取っ払ってIHクッキングヒーターを導入し、ガス給湯機も取り外して家の外に大掛かりなエコキュートを設置します。これらの工事で100万円は必要でしょう。

更に、「太陽から請求書は来ませんよ」とばかりに屋根に朝日ソーラー、ソーラーパネルを設置しましょうという話になります。これには、パワーコンディショナーやモニター機器も必要になります。

これで、工事費込みで150~200万円の投資が必要です。

ソーラーパネル

ここで、ガスの使用をやめて電気1本に絞ることで、財布にも環境にもエコとなるかどうか冷静に考える必要があります。

ソーラーパネルは夜間は勿論のこと、雨や曇りの日は発電量が低下します。雪が積もれば発電が停止します。周囲の建物の影がソーラーパネルに当たると、発電量が極度に低下します。

そして、パネル自体の劣化や土埃の堆積により、パネルの発電性能は徐々に低下していきます。この世の機器は全て永遠の物ではありません。

パワーコンディショナーはソーラーパネルが発電した直流電流を交流に変換する機器。おそらく、パネルが発電した電気の5%前後はパワーコンディショナーが発する熱となって消えてしまうと思います。

パワーコンディショナーはほぼ毎日稼働する機器のため、長くもって15年、早ければ10年前後で故障のリスクが高まります。

あと忘れてはならないのが、エコキュートだって寿命があります。これも、もって15年ほどでしょう。各機器が故障すれば、否応なく交換するしかありません。他の選択肢はありません。

ここで、ドイツの太陽光発電が大きく後退してしまった記事を引用します。

日本の「お手本」ドイツで太陽光発電大きく後退 家庭用中心に電気料金高騰、供給に対する不安も
出典:J-CASTニュース

いち早く「脱原発」に舵を切ったドイツで、太陽光発電が急速に萎んでいる。

ドイツはCO2削減を目的に2000年に再生可能エネルギー法を施行し、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの「全量固定価格買い取り制度」(FIT)を導入。いわば、日本が「お手本」としている国だ。そのドイツがいま、電気料金の高騰に苦しんでいる。

◆買い取り価格の引き下げ、数年後には買い取り中止に

太陽光発電の先進国ドイツが電気料金の高騰で電力政策の見直しを余儀なくされた。

2000年に導入した再生可能エネルギー法を12年6月末に改定し、太陽光発電の買い取り価格の20〜30%の引き下げと、太陽光発電の累計設備容量が5200万キロワットに達した後は太陽光発電の買い取りを中止することを決めた。

ドイツの太陽光発電はすでに設備容量が累計で2700万キロワットに到達しており、2016年にも5200万キロワットに達するとみられている。

これまでは全量を20年間、固定した価格で買い取ってきた。太陽光発電の設備投資には補助金も出され、それを追い風に太陽光発電の設備容量は2005年以降、世界第1位だ。

ところが、発電電力量に占める割合は電力全体の3.3%に過ぎない。さらには電気料金が高騰し、国民負担が大きくなってきた。

ドイツではFITを導入した2000年以降、電気料金は上昇傾向にあり、家庭用は2000年時点に比べて1.8倍以上も上昇した。

ドイツの電力事情に詳しいNPO法人国際環境経済研究所の竹内純子・主席研究員は、

「ドイツのFITでは、大規模需要家は国際競争の観点から費用負担が大きく減免されているのですが、それ以外は電力消費量に応じた負担ですのでやはり不満が大きく、実際に繊維業界が先日、再生可能エネルギー法が憲法違反であるとして訴訟を起こしました。

さらに脱原発に伴い、電気料金が上昇すること、また供給に対する不安が出ています。ある大手銅メーカーは10分の1の停電でも生産ラインが停止してしまうとし、停電の少ないドイツに生産拠点を置くメリットが失われつつあることに懸念を表明しています」

と説明する。

また、供給が不安定な太陽光発電をバックアップする発電所として火力発電所を維持する、「二重の設備投資」を強いられ、そのコストも電気料金にのしかかる。

さらにドイツでは石炭や褐炭が採掘でき、安く手に入ることもあって、石炭・褐炭による発電所がいま続々と建設されていて、その費用も上乗せされる。

石油や石炭・褐炭への依存度が上がれば、CO2排出量も上がるのだから、何のために再生可能エネルギー法を施行し、FITを導入したのかもわからなくなっている。

◆産業育成にも結びつかず、補助金もバラマキに終わる

まだある。

ドイツの太陽光発電メーカーは、中国メーカーによるダンピング競争に巻き込まれ、一時は世界のトップメーカーだったQセルズまでも破たん。産業育成にも結びつかず、補助金もバラマキに終わった。

なぜ、ドイツの太陽光発電はこれほどまでに後退しているのだろう——。前出の竹内氏は

「ドイツでは太陽光発電の稼働率が10%程度であることなどはわかっていたはずですが、再生可能エネルギーの導入による負担上昇や、産業政策上では中国との価格競争について見誤ったといえます。

また、太陽光発電事業者の政治的ロビーイングが激しかったことは大きく影響しているでしょう」とみている。

竹内氏は、「ただ、こうした状況はいまの日本にそのまま当てはまります」とも指摘する。

ちなみに、政府の試算では2030年の「原発ゼロ」を目標にすると、家庭の電気料金を含む光熱費が月額で最大3万2243円となり、2010年実績(1万6900円)の約2倍に上昇するという。

機器は、いつか故障する

新築一戸建ての場合、営業マンは最初からオール電化を前提として見積書を持ってくるでしょう。各数字を目で追っていくと、オール電化のための機器に対する初期投資が高いことに気付くはずです。

もちろん機器は、いつか必ず故障します。それが、いつやってくるかは誰も分かりません。

運良く各機器が長持ちしてくれたら、ガス料金はゼロのまま。パネルが発電した電気の売電もあってトクするかもしれません。「かもしれない」ということは、将来という未知の未来に対して先行投資することです。

この世に100%の結果が保証されている投資は存在しません。決して安くない投資が「丁」と出るか「半」と出るかは、誰もわからないのがオール電化の難しいところなのでしょう。

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